頻出英語表現(14):1つや複数を表す数字

プログラミング関連のドキュメントで頻出する英語表現を紹介します。とりわけAPIリファレンスやマニュアルでよく用いられる表現を取り上げます。


今回は「one or more」など、1つや複数を表す数字の表現です。英語では名詞の単数と複数をしっかり区別します。そのため、関連表現を把握しておくことが望ましいでしょう。

1つ以上の

1つでもよいし、複数でもよいという場合です。

なお、厳密に数字を扱う場合、日本語の「以上」や「以下」は基準点を含みます。たとえば「5個以上」には5個が含まれますし、「30歳以下」には30歳が含まれます。

逆に「未満」や「超」は基準点を含みません。たとえば「30歳未満」には30歳は含まれません(29歳は含まれる)し、「5個超」には5個は含まれません(6個は含まれる)。

one or more

文字通りだと「1つまたはそれ超」という意味なので、「1つ以上」を指します。例:

  • Choose one or more categories.
    • 1つ以上のカテゴリーを選択します。
    • ※ 名詞は複数形(categories)

moreについて補足

「more than 〜」とした場合、「〜以上」ではなく、「〜超」になります。つまり基準点は含まれません。たとえば「more than five」は「5超」であり、5は含まれません。厳密に数字を扱う必要がある際にこの区別は重要になります。

同様に「less than 〜」は「以下」ではなく「未満」に相当します。たとえば「less than three」は「3未満」で、3は含まれません。

at least one

「少なくとも1つ」という意味です。そのため「1つ以上」というニュアンスが出てきます。例:

  • At least one group must be selected.
    • 少なくとも1つのグループを選択しなければなりません。
    • ※ 名詞は単数形(group)

複数の

続いて「複数の」に関する表現です。

more than one

「1つ超の」という意味です。1つを超えるので「2以上の」、つまり「複数の」になります。例:

  • If you specify more than one user, you cannot automatically assign a role.
    • 複数のユーザーを指定した場合、ロールを自動的に割り当てられません。
    • ※ 名詞は単数形(user)

two or more

「2つまたはそれ超」なので、「複数の」という意味です。例:

  • You cannot create two or more accounts at the same time.
    • 複数のアカウントを同時に作成できません。
    • ※ 名詞は複数形(accounts)

その他

1語で「複数の」を表現する単語も登場します。たとえば「multiple」や「several」です。 例:

  • Returns true if multiple connections are supported.
    • 複数の接続がサポートされている場合はtrueを返す。

ただmultipleとseveralではニュアンスに若干の違いがあり、multipleは複数でも「多くの」である一方、severalは「3〜5個」程度を表すとされる点に注意が必要です。


[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/情報技術者/IT英語専門家

訳書に『血と汗とピクセル』、『リセットを押せ』、著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。

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