プログラミング関連のドキュメントで頻出する英語表現を紹介します。とりわけAPIリファレンスやマニュアルでよく用いられる表現を取り上げます。
今回はソフトウェアの「バージョン」を言い表す際の表現です。
▼ 新旧や前後
バージョン(版)であるため、新しいや古い、前や後、といった形容詞で指し示されるケースが多く見られます。
new、old、newer、older
「新しい」や「古い」ですぐに思い浮かぶのは「new」や「old」です。例:
- Users can evaluate the new version for seven days.
- ユーザーは新バージョンを7日間評価できます。
また、newやoldの比較級である「newer」や「older」もよく使われます。「より新しい」や「より古い」バージョンを指します。例:
- Older versions can be downloaded here.
- 古いバージョンはこちらでダウンロードできます。
later、latest
laterは形容詞late(遅い、遅れた)の比較級で「より後の」、latestはlateの最上級で「最新の」を指します。なお原級のlate自体はそれほど出現しません。例:
- Update the software to the latest version.
- このソフトウェアを最新版にアップデートします。
なおlateには、ほかにlatterという比較級とlastという最上級があります。違いはこうです。
- later、latest:時間的な後
- latter、last:順序的な後。latterは「後者」という名詞も(その場合はformerが「前者」)
early、earlier
earlyは形容詞で「初期の」や「早期の」という意味です。earlierはその比較級で「より初期の」や「より前の」です。例:
- This plugin is not compatible with earlier versions.
- このプラグインは、前のバージョンと互換性がありません。
next、previous
nextは「次の」という形容詞、previousは「前の」という形容詞です。例:
- In previous versions, the option was disabled by default.
- 前のバージョンでは、オプションはデフォルトで無効でした。
future、past
futureは「将来の」、pastは「過去の」という形容詞です。ただしpastはそれほど使われません。例:
- This method will be removed in a future version.
- このメソッドは将来のバージョンで削除されます。
update、updated
updateは動詞で「更新する」、名詞で「更新」を表します。updatedは形容詞で「最新の」や「更新された」です。例:
- Be sure to use the updated version of the tool.
- 必ず最新版のツールを使用してください。
current
currentは「現在の」や「最新の」という形容詞です。例:
- To use the current version of the IDE, please purchase a license.
- 最新バージョンのIDEを使用するには、ライセンスを購入してください。
なお「the most current version」(最新バージョン)という表現もたまに登場します。
▼ その他
バージョンなので、上記の新旧や前後に関連する形容詞で修飾されるケースは多いですが、それ以外の言葉で表現されることもあります。ここではまとめて見てみます。
- release
- 「release version」で「リリース版」のこと
- 関連語に「experimental version」(実験版)
- specific
- 「特定の」という形容詞。「specific version」で「特定バージョン」
- minor、major
- 「マイナー・バージョン」と「メジャー・バージョン」を指す際に使う
- default
- 「デフォルトの」や「既定の」という形容詞。「default version」で「デフォルト版」
- available
- 「入手可能な」という形容詞。「available version」で「入手可能なバージョン」
- supported
- 「サポートされた」や「対応した」という形容詞。「supported version」で「サポートされたバージョン」
このように、バージョンはさまざまな言葉で修飾されます。新旧前後を指す言葉が多いですが、それ以外の言葉も用いられます。
[筆者紹介]
西野 竜太郎
翻訳者/情報技術者
著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。
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