Googleが公開している開発者向け英文スタイルガイドから項目を1つ取り上げて紹介します。スタイルガイドは基本的には書く際に利用されますが、読む際にも参考になります。
記事の英語難易度は「中〜上級」です。
マニュアルなどでは「注」や「警告」を書くことがあります。今回はそういった注意事項の書き方です。
URL: https://developers.google.com/style/notices (2022-6-26閲覧)
注意事項を書くケース
重要または有用な情報を提供する際、本文とは別に注意事項として掲示できます。ただし、ユーザーは自分に関連がなさそうな要素は読み飛ばすようです。そのため、注などとして載せるか迷う場合、まず本文にした後、本当に必要であれば別途注意事項にするとしています。
また、あまり注意事項が多いと目立たなくなるので、多用しすぎないようにします。
注意事項の種類
下記の「Note」、「Caution」、「Warning」、「Success」の4種類を使うとしています。
Note
補足やコツに使います。ユーザーにとって有用な情報で、重大とまでは行かない情報です。
▼Noteに記載される例文:(※以降、英文はすべてGoogle)
- Generating excessive amounts of traffic to external systems can resemble a denial-of-service attack.
- 外部システムに対して過度なトラフィックを送ると、DoS攻撃のようになる恐れがあります。
日本語だと「注」、「注意」、「注記」、「留意」、「メモ」、「補足」などの訳語が当てられます。ただし「注意」あたりだと次のCautionと訳語が重複するかもしれません。もしマニュアルを日英翻訳をするのであれば、訳語は事前に調整しておいた方がよいでしょう。
Caution
注意して進めるようユーザーに伝えるのに使います。
▼Cautionに記載される例文:
- We don’t recommend using a broad 0.0.0.0/0 range that would allow all traffic.
- あらゆるトラフィックが許可され得る、レンジの広い0.0.0.0/0を使うことは推奨されません。
日本語だと「注意」や「警告」といった訳語が使われます。やはり次のWarningの訳語と重複する恐れはあるので、事前調整は不可欠です。
Warning
cautionよりも強いニュアンスです。してはいけない操作や、元に戻せない恐れのある操作に使います。Warningを無視した場合、経済的な損害やセキュリティー違反といった結果を招く可能性があります。
▼Warningに記載される例文:
- Don’t put a password on the command line; doing so is a security risk.
- コマンドラインにパスワードを入力してはいけません。セキュリティー上のリスクがあります。
日本語だと「警告」、「注意」、場合によっては「危険」といった訳語になります。
Success
操作が成功した場合や、エラーがない状況で使います。インタラクティブなまたは動的なコンテンツで使い、静的なコンテンツでは使いません。
▼Successに記載される例文:
- You’ve successfully deployed an application to GKE.
- 正常にアプリケーションをGKEにデプロイしました。
Noteの使い方
使える条件
次に挙げる条件がすべて満たされる場合、「Note」を使うとしています。
- ユーザーの今の操作に関連しているが、必須ではない
- その時点で掲示してもユーザー操作を阻害しない
- 例えば、代替となるような操作手順を示す場合はNoteにしない
- 現在の情報の流れの一部ではない
- 単に後続手順、結果、追加情報ではない
使わないケース
Noteを使わないケースがいくつか挙げられています。
- 相互参照にはNoteを使わない
- ユーザーが満たしておくべき前提条件や手順の掲示にNoteを使わない
- こういった情報は前の手順とする
- 手順の1ステップ全体をNoteに入れない
- 正常に完了するのに必要な情報にNoteを使わない
- 続いているテキストの一部をNoteにしない
- 例えば、期待できる結果を示したり、前のステップを説明したりするのに使わない
見た目の例
特に組織でルールを決めていなければ、次のような見た目(HTMLの場合)が推奨されています。
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