Microsoftが公開している英文スタイルガイドから項目を取り上げて紹介します。記事の英語難易度は「中級」です。
世界各地の読者に向けて英語で書く際には注意したい点がいくつかあります。今回は「名前と連絡先情報」に関連した項目です。
- GitHubページ:https://github.com/MicrosoftDocs/microsoft-style-guide/blob/main/styleguide/global-communications/names-contact-information.md(2022-9-23閲覧。ウェブページ表示)
入力フォームでの名前と連絡先情報
人の名前や連絡先情報の書き方は国や文化によって違うので、入力フォームではなるべく汎用的な形式を使うことが望ましいと言えます。Microsoftでは以下のポイントを挙げています。
名前
- 「First name」と「Last name」に分けるのではなく、単に「Full name」とする
- 「Middle name」フィールドを設ける場合、任意の入力とする
- Mr.やMrs.といった言葉には「Honorific」(敬称)ではなく「Title」(肩書)を使う
上記は英語と日本語だけを考えてもうなずけます。例えば最初の「First name」と「Last name」の場合、たまに「ようこそ、太郎 山田さん」のような表示を見ることがあります。元々の英語でFirst name→Last nameの順になっていたため、日本語でもその順で表示されてしまう問題です。名前の書き方は文化によって違うので、大きな1つのフィールドにまとめておくと無難です。
連絡先情報
- 各ロケールで適切な情報を入力できるよう、十分に長いフィールドを設ける
- 「State」(州)ではなく「State or province」(州または県)とする
- 国によっては該当しないことがあるので、任意の入力とする
- 単に「Country」(国)ではなく「Country or region」(国または地域)とする。紛争中の地域があるため
- スペースが限られる場合は「Country/Region」という表記でもよい
- ヨーロッパ地域内で郵便を送る可能性があれば「Country or region code」フィールドを設ける
- スペースが限られる場合は「Country/Region code」という表記でもよい
- 郵便番号は「ZIP Code」ではなく「Postal code」という言葉を使う
- 少なくとも10文字以上、かつアルファベットと数字が入力できるようにする
- 長い電話番号を入力できるよう十分にスペースを設ける
顧客の名前を直接呼ばない場合も
英語文化圏では、顧客に送るメールなどで直接相手の名前を呼ぶことがあります(文頭で「Hello John,」など)。文化によっては直接名前で呼ばないことがあるので、各文化に合わせた方法を採用すべきとMicrosoftは指摘しています。
日本でも恐らく「お客様」などとして直接呼ばないケースが多いため、この点については理解しやすいのではと思います。
(ライセンス表示: 本ページの一部内容は、Creative Commons 4.0 Attribution Licenseに基づきMicrosoft社の著作物を改変して利用しています。)
[筆者紹介]
西野 竜太郎
Ryutaro Nishino
翻訳者/情報技術者
著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。
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