MS英文スタイルガイド:グローバルな読者向けの「色と画像」

日本語ネイティブ向け英語スタイルガイドの「IT英語スタイルガイド」も公開しています。まとまった情報が必要な場合にご参照ください。

Microsoftが公開している英文スタイルガイドから項目を取り上げて紹介します。記事の英語難易度は「中〜上級」です。


世界各地の読者に向けて英語で書く際には注意したい点がいくつかあります。今回は「色と画像」に関連した項目です。

色は、宗教的、文化的、あるいは政治的な意味を持つことがあるので、使い方に注意すべきとしています。例えば赤や緑を使ってクリスマス時期を表すようなケースが該当します。

筆者の補足ですが、色は文化によって意味合いが違うという主張もあります。例えばこのページでは色の意味を国別にグラフ化しており、16番にある「死」は、西欧や日本では「黒」だが中国やインドでは「白」となっています。また22番のエロチックは、西欧では赤で、日本ではピンクです。

画像

画像を使う際は、世界のどこでも許容されるものを使うとしています。例えばサッカー選手、機器、よくある風景などの画像です。

また、文化と関連して下記の点に注意します。

  • 祝祭日に関するものは避ける
    • ※ クリスマスなど
  • 有名な建造物で、法的に画像使用が禁止されていたり政治や宗教に関係したりするものは避ける
  • 男女が一緒にいる社交や職場の場面は一部地域でリスクがある
  • 手の合図(ジェスチャー)は使わない
  • 英語のイディオムをベースにしたもの使わない

その他の画像に関する注意

文化に直接関係しない面でも、いくつか注意点が挙げられています。

  • 画像やアニメーションは控えめにする
    • 一部の国や地域では、読み込みに時間がかかると通信費がかさむため
  • 画像内にテキストを使う場合、編集しやすくしておく
    • 画像内のテキストは機械翻訳できないため。可能であれば、代わりにキャプションを使ったり、画像を文字で説明したりする
  • 画像のaltテキストに説明を加える
    • 特にボタンが画像の場合、読者が理解できないことがあるため
  • 画像は別ファイルとし、ドキュメントからリンクする
    • 可能な場合。ドキュメントに埋め込まれていなければ、ローカリゼーション段階で修正ができるため
  • コンテンツの輸入に関する法的制限を確認する
    • とりわけ地図が要注意で、政府による検閲が必要なことがある。領有権争いがある部分の取り扱いを間違えると、一部の国では問題になる

(ライセンス表示: 本ページの一部内容は、Creative Commons 4.0 Attribution Licenseに基づきMicrosoft社の著作物を改変して利用しています。)


[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/情報技術者/IT英語専門家

訳書に『血と汗とピクセル』、『リセットを押せ』、著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。

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