予約語で覚える英単語:callable、case、catch、char

プログラミングをしていて必ず目にするのが予約語やキーワードです。そういった予約語やキーワードから英単語を覚えてみましょう。記事の英語難易度は「初〜中級」です。

今回はcallableやcaseなど、Cで始まる単語の第1回です。

callable

callableは「呼び出し可能な」という形容詞、または「呼び出し可能なもの(オブジェクトなど)」という名詞です。

「〜able」で終わる単語は「〜可能な」という形容詞であるケースが大部分です。例えば、changeable(変更可能な)、erasable(消去可能な)、imaginable(想像可能な)といった単語です。

しかし、とりわけIT分野だと「〜able」が名詞になることがあります。いくつか例を挙げます。

  • downloadable
    • 形容詞:ダウンロード可能な
    • 名詞:ダウンロード可能ファイル
  • executable
    • 形容詞:実行可能な
    • 名詞:実行可能ファイル
  • wearable
    • 形容詞:着用できる
    • 名詞:着用デバイス

他にプログラミングでよく使われる単語としては、variableがあります。形容詞としては「変わりやすい」ですが、名詞では「変数」です。このvariableは1816年に名詞になったようです(参考)。

もしプログラミング関連の英文を読んでいて「an executable」(単数)や「downloadables」(複数)のような形で出てきたら、形容詞ではなく名詞かもしれないと疑ってみてください。名詞であれば「実行可能ファイル」や「着用デバイス」のように、文脈から具体的な言葉を補って理解する必要があります。

なお、筆者が以前少し調べた際、IT分野で名詞として使われる「〜able」には下記のような事例がありました。committableは「コミット可能ファイル」、iterableは「イテレーション可能オブジェクト」のように、ファイルやオブジェクトのような言葉を補って理解する必要があります。

  • clickable
  • consumable
  • committable
  • deliverable
  • drawable
  • enumerable
  • immutable
  • initializable
  • iterable
  • playable
  • returnable
  • runnable
  • scrollable
  • throwable

下記サンプルはPHPのもので、関数説明にある引数の型にcallableが指定されています。

サンプル(PHP)

array_map(?callable $callback, array $array, array ...$arrays): array

(出典:https://www.php.net/manual/ja/function.array-map.php、2023-07-10参照)

使うプログラミング言語の例

PHP

case

caseは名詞で、「場合」、「ケース」、「大文字小文字の区別」を表します。プログラミング必須英単語600+でベーシック300に入っている英単語です。予約語やキーワードとしては、一部のプログラミング言語でswitch文の条件を記述する際に用いられます。

上記3つ目の「大文字小文字の区別」について補足説明します。英語で大文字は「upper case」、小文字は「lower case」と呼ばれます。例えば、検索ダイアログで「☑Ignore case」のようなチェックボックスがあるとします。caseをignore(無視)するので、大文字と小文字の区別が無視されます。こういった場合に「大文字小文字の区別」の意味が出てきます。なお、case-sensitiveという形容詞もあります。「大文字と小文字を区別する」という意味です。

下記サンプルでは、JavaScriptのswitch文の条件でcaseが使われています。

サンプル(JavaScript)

const greeting = "hi";
switch(greeting){
    case "hi": console.log("hiです。");
    break;
    case "hello": console.log("helloです。");
    break;
    default: console.log("どれでもありません。");
}

使うプログラミング言語の例

C#、Java、JavaScript、PHP、Python、Ruby

catch

catchは「つかむ」、「捕まえる」という動詞です。

プログラミング言語の予約語やキーワードとしては、try〜catchの構文で用いられます。例外が発生しうる処理をtry部分で実行し、catch部分で発生した例外をキャッチします(捕まえます)。

下記C#のサンプルでは、try〜catch構文で例外をキャッチしています。

サンプル(C#)

try
{
    ProcessShapes(shapeAmount);
}
catch (Exception e)
{
    LogError(e, "Shape processing failed.");
    throw;
}

(出典:https://learn.microsoft.com/ja-jp/dotnet/csharp/language-reference/statements/exception-handling-statements、2023-07-10参照)

使うプログラミング言語の例

C#、Java、JavaScript、PHP、Python

char

charは「character」の略で、プログラミング必須英単語600+で略語70に入っています。そのcharacterは「文字」という名詞で、ベーシック300の英単語です。

日本語の「文字」に対応する英単語には、「letter」と「character」があります。この2つはどう違うのでしょうか? まず、letterはアルファベットのような表音文字を指します。一方、characterはアルファベット、漢字、記号なども含めたさまざまな文字を指します。どちらも同じ「文字」という訳語で覚えているかもしれませんが、厳密には指し示す範囲が違うので注意してください。

下記サンプルでは、「A」という1文字をchar型の変数に代入し、その後に出力しています。

サンプル(Java)

char c = 'A';
System.out.println(c);

使うプログラミング言語の例

C#、Java

英単語まとめ

  • callable【形容詞】呼び出し可能な、【名詞】呼び出し可能なもの
    • 「〜able」は名詞のことも。downloadableやwearableなど
  • case【名詞】場合、ケース、大文字小文字の区別
    • ベーシック300
    • case-sensitive【形容詞】大文字と小文字を区別する
  • catch【動詞】つかむ、捕まえる
  • char:characterの略語
    • 略語70
    • characterは「文字」という名詞で、ベーシック300

[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/情報技術者/IT英語専門家

訳書に『血と汗とピクセル』、『リセットを押せ』、著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。

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