頻出英語表現(7):前と次

プログラミング関連のドキュメントで頻出する英語表現を紹介します。とりわけAPIリファレンスやマニュアルでよく用いられる表現を取り上げます。


今回は、順序を示す際に用いる「前」と「次」という表現です。APIリファレンスやマニュアルでは操作などの手順を示すことも多いため、ここで紹介する表現は頻出します。

▼ 前

previous

「前の」という意味の形容詞です。名詞を修飾し、「previous value」(前の値)、「previous versions」(以前のバージョン)、「previous step」(前のステップ)といった使い方をします。例:

  • As explained in the previous figure, multiple volumes can be attached to an instance.
    • 前の図で説明している通り、複数のボリュームが1つのインスタンスに接続できます。

ウェブページなどには「前」や「次」というボタンが用意されていることがあります。このとき「前」にはpreviousが用いられます。スペースが狭い場合は「Prev」と略して表記されるケースもあります(ただし、できれば略語の使用は避けた方がよい)。また、「前」ボタンの場合は「戻る」というニュアンスでbackが使われることもあります。

なおpreviousはプログラミング必須英単語600+の「ベーシック300」に入っています。

preceding

同じく「前の」という形容詞で、previousの同義語です。例:

  • Be sure to escape these characters with a preceding backslash.
    • 直前にバックスラッシュを使い、これらの文字をエスケープするようにします。

prior

これも同じく「前の」や「事前の」という形容詞です。最初の例文にあるように、契約書などの法的文書でもよく見かけます。また「prior to 〜」(〜に先立ち、〜より前)というイディオムでもよく登場します。例:

  • You cannot use the product without our prior written consent.
    • 当社からの書面による事前の同意がなければ、この製品は使えません。
    • ※ writtenは「書かれた」という意味から「書面」という日本語が用いられる
  • Prior to version 1.0, the default number was 100.
    • バージョン1.0の前は、デフォルト値は100でした。

▼次

next

「次の」という形容詞です。「隣の」という意味もあるので注意しましょう。

  • On the next page, press OK.
    • 次のページで「OK」を押します。

previousの項目でも説明したように、ウェブページの「次」ボタンのラベルにはnextがよく使われます。つまり「< Previous | Next >」や「< Back | Next >」という組み合わせです。

なおnextはプログラミング必須英単語600+の「前提英単語100」です。

subsequent

「次の」や「その後の」という意味の形容詞です。

  • All subsequent calls to this method have no effect.
    • このメソッドに対するその後のすべての呼び出しは、効果がありません。

following

「次の」や「後続の」という意味の形容詞です。「頻出英語表現(5):次の、以下の」で取り上げたように、後続する項目を指し示す際に用いられます。

  • To do this, use the following command:
    • これを実行するには、次のコマンドを使います:
    • ※ この後にコマンドが記載されている

followingはプログラミング必須英単語600+の「ベーシック300」です。


上記のうち、preceding、prior、subsequentはプログラミング必須英単語600+に入っておらず、一般英語としてもやや難易度が高い単語です。


[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/情報技術者/IT英語専門家

訳書に『血と汗とピクセル』、『リセットを押せ』、著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。

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