頻出英語表現(18):可能

プログラミング関連のドキュメントで頻出する英語表現を紹介します。とりわけAPIリファレンスやマニュアルでよく用いられる表現を取り上げます。

今回の記事の英語難易度は「初級〜中級」です。


本記事では「〜できる」など「可能」であることを示す際によく用いられる表現を紹介します。

無生物主語を使った表現

マニュアルなどでは、アプリや機能などの「無生物」を主語にした構文が頻出します。

例えば「このアプリは、あなたが〜することを可能にする」という形です。ただし日本語では無生物主語はあまり馴染みがないので、「このアプリを使うと、〜できます」といった訳の方ががしっくりします。

しかし英語を読む際は、次に示すような無生物主語構文の理解が必須です。

allow you to 〜

「<無生物主語> allow you to <動詞>」という形です。

例:

  • This API allows you to download data files.
    • このAPIを使うと、データのファイルをダウンロードできます。
    • ※ 主語に合わせて「allows」と三人称単数現在形になっている点に注意
  • Clicking the buttons in the toolbar allows you to interact with editor.
    • ツールバーのボタンをクリックすることで、エディターと対話できます。
    • ※ 例文のように「ツールバーのボタンをクリックすること」と長めの無生物主語が使われることもある

enable you to 〜

上記のallowと同じ形を取ります。つまり「<無生物主語> enable you to <動詞>」です。ただしallowほど頻繁には登場しません。

例:

  • Security groups enable you to control traffic to your server.
    • セキュリティー・グループを使うと、サーバーへのトラフィックを制御できます。

let you 〜

allowやenableと同じく代表的な動詞ですが、「<無生物主語> let you <動詞>」の形になります。

toがない点が要注意です。文法的に言うとletは「使役動詞」(他にhaveやmake)で、toなしの動詞原形が用いられます。

例:

  • This option also lets you import image files.
    • このオプションを使うと、画像ファイルもインポートできます。
  • Use a name that lets you find an access point on the dashboard easily.
    • ダッシュボード上でアクセス・ポイントを簡単に見つかられる名前を使いましょう。

Google英文スタイルガイドの推奨

なおGoogleが提供しているエンジニア向け英文スタイルガイドでは、下記のようにallowやenableではなく、letの使用を推奨しています。

出典: https://developers.google.com/style/word-list#enable (2021-11-22アクセス)

ただし現実には、letよりもallowの使用例の方が圧倒的に多く見られます(筆者手元のコーパスではallowはletの5倍ほど)。そのため少なくともallow、enable、letは、どれも読んでもすぐ理解できるようにはしておきたいところです。

you can 〜

マニュアルでは、ユーザーや読者が何かできると表現する際、「you can <動詞>」の形がよく用いられます。

主語が「the user」などと三人称ではなく、「you」と二人称で表現されるのがポイントです。非常に基本的な表現ですが、特に英語でマニュアル(あるいは簡単な手順説明)を書く際には覚えておくと便利です。

例:

  • You can add a new user by pressing the Add button.
    • 「追加」ボタンを押すことで、新規ユーザーを追加できます。
  • The File Name field appears below, where you can type the name of the file.
    • 「ファイル名」フィールドが下に表示され、そこにファイルの名前を入力できます。
    • ※ typeは「(キーボードで)入力する」という動詞(プログラミング必須英単語600+のベーシック)

be able to 〜

canと同様に非常に基本的な頻出表現です。

「可能」を助動詞で表現する際はcanが使えます。しかし一緒に例えば「未来」も表現したい場合、「can will」などと助動詞を2つ重ねることはできません。そういった場合に「可能」の方に「be able to」を使えば、「will be able to」と表現できます。

  • After this update, you will be able to create multiple projects.
    • このアップデートの後、複数のプロジェクトを作成できるようになります。
  • To be able to remove a user, you must set it to true.
    • ユーザーを削除できるようにするには、これをtrueに設定する必要があります。

[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/著者

訳書に「血と汗とピクセル」、著書に「アプリケーションをつくる英語」(第4回ブクログ大賞)、「ITエンジニアのための英語リーディング」、「ソフトウェア・グローバリゼーション入門」、「アプリ翻訳実践入門」など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得。

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