英文スタイルガイド解説(11):UI要素の書き方2 ― ウィンドウなど

日本語ネイティブ向け英語スタイルガイドの「IT英語スタイルガイド」も公開しています。まとまった情報が必要な場合にご参照ください。

Googleが公開している開発者向け英文スタイルガイドから項目を1つ取り上げて紹介します。スタイルガイドは基本的には書く際に利用されますが、読む際にも参考になります。


ウィンドウ、メニュー・バーなど

URL:https://developers.google.com/style/ui-elements#ui-terms (2020-09-28閲覧)

開発者であれば、ちょっとした操作説明を英語で書く機会があります。今回は、操作説明におけるUI要素の書き方の2回目です(第1回はこちら)。なお英語例文はGoogleのものです。

ウィンドウなどの画面区画

画面の区画を指す英単語がいくつかあります。以下のように使い分けます。

window:あるアプリ全体のウィンドウに加え、そのアプリの一部になっているツールなどのウィンドウを指すのにも使う

page:主にウェブ・ページを指すのに使う

dialog:メインのアプリケーション・ウィンドウの手前に表示され、独立した小さなウィンドウを指すのに使う

  • ✕:In the Welcome pop-up window, click OK.
  • ◯:In the Welcome dialog, click OK.

pane:ウィンドウの中にある区画を指すのに使う。発音は「ペイン」で、一般英語としては「窓のガラス1枚」を指す(「田」の形の窓なら4枚のペインがある)。

前置詞は基本的に「in」ですが、pageの場合だけは「on」を使います。

  • ◯:In the Task window, click Start.
  • ◯:On the Create an instance page, click Add.

また「In 〜」のように、操作の場所を先に書くようにしましょう。そうすると、読者の視線の移動に合います。

メニュー・バー

ウィンドウや画面の最上部にあるのがメニュー・バー(menu bar)です。

メニュー・バーでは「ファイル」→「保存」のように、下位項目を連続して選択する操作がよくあります。この連続操作では「>」を使って示します。

  • ◯:Select View > Tools > Developer Tools.

Googleのスタイルガイドでは、この「>」を使った表記方法はメニュー・バーのみに使うとしています。また「>」自体もUIと同じくボールドとしています。

ボタンとアイコン

ボタンを指し示す際は、ボタンのラベルを使います。

  • ✕:Click the “OK” button.
  • ◯:Click OK.

ボタンがアイコンの場合、ツールチップに表示される名前(マウス・カーソルを置いたときにポップアップで出る名前)を書き、その直後にアイコン画像を表示します。

  • ✕:Click the + icon.
  • ◯:Click Add +. (※「+」は画像)

また、UI要素に三点リーダー(エリプシス)がある場合は含めません。

  • ✕:Click Browse ….
  • ◯:Click Browse.

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[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/情報技術者/IT英語専門家

訳書に『血と汗とピクセル』、『リセットを押せ』、著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語ライティング』、『ITエンジニアのための英語リーディング』、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得(専門は言語学)。TOEIC 985点。
東京通信大学外部講師。

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