Googleが公開している開発者向け英文スタイルガイドから項目を1つ取り上げて紹介します。スタイルガイドは基本的には書く際に利用されますが、読む際にも参考になります。
コロン(:)の使い方
URL: https://developers.google.com/style/colons (2021-1-27閲覧)
なおセミコロン(;)の使い方はこちらの記事で解説しています。
基本的な使用方法
コロンは日本語表記であまり馴染みがない上に、英語母語話者でも使い方に悩む句読点です。たとえばノースカロライナ大学の資料では、以下を基本的な使用方法として挙げています。
- リスト、名詞/名詞句、引用、例/説明を導く
- つまりコロンの直後にこれらが示される
- 文どうしをつなげる
- 2文目が1文目の要約や説明になっている
- 時刻やタイトルなどで慣習的に使う
3番目は「12:45」(時刻)や「Terminator 2: Judgment Day」(映画のタイトル)のような形で使われ、それほど難解ではありません。一方、1、2番目は悩むことがあります。
ただしプログラミング英語を書く際によく使うのは1番の用法で、実際にGoogleスタイルガイドでも1番を想定した例文になっています。中でも最初の「リスト」を導くケースは使う場面が多いでしょう。そこで以下でも、リストを導くケースを想定して説明します。
コロンの前は完全な文に
リストを導くコロンは、完全な文の形(独立節)にします。例文はGoogleのものです。
- ✕ The fields are:
- ◯ The fields are defined as follows:
後者にリスト項目A〜Cを補うと、全体としては次のようになります。
The fields are defined as follows: A, B, and C.
AやBが短い言葉であれば、上記の書き方で問題ありません。ただしAやBに長い文や複雑な文などが入る場合は、次の形の方がユーザーは読みやすくなるでしょう。
The fields are defined as follows:
– A
– B
– C
また、例文にあるように、リストを導く際に「follow」という単語がよく使われます。上記の「〜 as follows:」に加え、「The following are 〜:」などの形がよく見られます。詳細はこちらの記事をご覧ください。
文中のコロンの直後は小文字
通常、文中で使うコロンの直後では、単語を小文字で書きます。
- ◯ When you add or update content to an existing project, remember to take these steps: review the style guide; use checklists; enlist a fellow writer or an editor to copyedit your work; and request a developmental edit if you feel that it’s warranted.
ただし固有名詞(例:Google)や引用などが続く場合は小文字にする必要はありません。
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補足(2022-02-02更新)
Googleと同様、マイクロソフトもスタイルガイドを提供しています。参考までにマイクロソフトの説明も記載します。
URL:https://docs.microsoft.com/ja-jp/style-guide/punctuation/colons (2022-02-02参照)
マイクロソフトにおけるコロン
コロンを使う場面として、下記の3つを挙げています。多くは上記「基本的な使用方法」と同じです。
- リストの前で
- 「基本的な使用方法」の1と2に該当
- 文中で
- コロンの後が前の説明などになっている
- 「基本的な使用方法」の1と2に該当
- タイトルや見出しで
- コロンの後は大文字にする
- 「基本的な使用方法」の3に該当
注意すべき使用方法
ただし「基本的な使用方法」と異なる部分もあります。
時刻で用いる際は、コロンではなくUnicodeの2236(U+2236)の「比率」を表す記号を使うとしています。ぱっと見ただけでは区別できませんが、2つを並べるとこうです。
- コロン → :
- 比率 → ∶
また、UIで用いる際にも注意が必要です。ラジオボタンやチェックボックスのリストを導く場面で使わないとしています。マイクロソフトは例を挙げていませんが、恐らく下記のようなケースが不可です。
Choose all that apply: ☐ A ☑ B ☐ C ☐ D ☑ E
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