英文スタイルガイド解説(22):使わない英語【J〜P】

Googleが公開している開発者向け英文スタイルガイドから項目を1つ取り上げて紹介します。スタイルガイドは基本的には書く際に利用されますが、読む際にも参考になります。

記事の英語難易度は「中〜上級」です。


Googleスタイルガイドでは、使わない(禁止や非推奨)としている英語表現を掲載しています。そのうち日本語母語話者も用いそうな基本的な表現を選んで解説します。ただし、あくまでGoogleの開発者向け文書が念頭にある点に注意してください。

A〜DE〜Iに引き続き、今回はJからPまでを取り上げます。

参考URL: https://developers.google.com/style/word-list#letter-j (2021-8-25閲覧)

J、K

使わない英語解説
just避けるが、justがないと意味が不明瞭になる場合、only、instead、previouslyなどを文脈に応じて使う
killできる限り避け、stop、exit、cancel、endなどを使う
ただしコマンドの場合は例外

L

使わない英語解説
let’s「〜しましょう」の意味。次のように書かない:
×:Let’s click the OK button now.
leverage「use」の意味では使わない
代わりに、use、build on、take advantage ofなどを使う
login/log in名詞や形容詞は「login」、動詞は「log in」と書く
ただし動詞は一般的に「sign in」の方がよいとしている
long press「長押し」のこと
Androidのドキュメントでは「touch & hold」を使うとしている(「and」ではなく「&」)
lowerバージョン番号の場合、earlierを使う(ただしAndroidドキュメントではlowerで可)
ドキュメント内の位置を示す場合、laterやfollowingを使う

M

使わない英語解説
manが付く言葉ジェンダーニュートラルの点から「man」が付く言葉は避ける。例:
・man hours、manhours、man-hours:「person hours」などに。「人時」のこと
・man-in-the-middle (MITM):「on-path attacker」や「person-in-the-middle (PITM)」などに
・manpower、man power、man-power:「staff」や「workforce」などに
markup/mark up名詞は「markup」、動詞は「mark up」と書く
masterslaveとの組み合わせでは絶対に使わない(master/slaveは主人/奴隷の意味のため、最近英語圏で避ける傾向)
それ以外でも文脈に応じて適切な言葉を使う。例:
primary、main、original、parent、initiator、driver、controller、 manager、mixer、aggregator、publisher、leader、active
may「可能性」を示したい場合はcanやmightを、「許可」を示したい場合は「can」を使う
mayは一般には法律文書や公式文書などで用いるとしている

N、O

使わない英語解説
ninja人を指すのに使わない
代わりに「expert」などを使う
on premise/on-premise自社運用のこと
「on-premises」と書く(複数形になっている点に注意)。例:
◯:An on-premises database
◯:The database runs on-premises

P

使わない英語解説
please製品の使い方を説明するような場合は使わない
使うのは、読者に依頼したり、許可を得たり、問題が発生し得ることを説明したりするケース
◯:If the issue persists, please contact your account representative.(製品の問題について伝えている)
plugin/plug-in/plug in名詞は「plugin」、形容詞は「plug-in」、動詞は「plug in」と書く
pop-up、popup情報入力などに表示されるウィンドウを指す際は「dialog」を使う
pros「advantages」などの言葉を使う
proは「メリット」や「良い点」の意味で、「pros and cons」のような形でよく使われる

(ライセンス表示: Portions of this page are modifications based on work created and shared by Google and used according to terms described in the Creative Commons 4.0 Attribution License.)


[筆者紹介]

西野 竜太郎

Ryutaro Nishino

翻訳者/著者

訳書に「血と汗とピクセル」、著書に「アプリケーションをつくる英語」(第4回ブクログ大賞)、「ITエンジニアのための英語リーディング」、「ソフトウェア・グローバリゼーション入門」、「アプリ翻訳実践入門」など。
産業技術大学院大学修了(情報システム学修士)、東京工業大学大学院博士課程単位取得。

リンク:ブログTwitter

Profile Picture